住むコト -大田区のまちづくりを考える-

大田区でまちづくりの活動をしている「住むコト」の活動ブログです

【都市マス】住むコトメンバーの公述①

sumucoto.hateblo.jp

上記の記事でご報告した通り、住むコトから5人のメンバーが東京都の都市計画マスタープランに対して意見を公述してきましたので、その内容をご紹介してまいります。

 

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大田区在住の藤原晴子と申します。大田区内で「住むコト」というまちづくりのグループで活動しています。また、羽田空港増便問題を考える会というグループの共同代表もしており、大田区内、また東京都で暮らす私たちの生活の問題に関心を持って活動しています。
本日は、「東京都都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(原案)」について、この場をお借りして意見を述べさせていただきます。大きく3点についてお話をいたします。1点目は、本計画の基本的な考え方についての私の意見。2点目は、公園やみどりの保全についての意見。3点目は、私の暮らす大田区の各地域について示されている将来像についての意見です。
最初に1点目、「都市計画区域マスタープラン」の「改定の基本的な考え方」に関してです。私は、示されている基本的な考え方を見直すべきとご提案いたします。まず第一に、本改訂が設定している目標年次は2040年代と長期間をカバーする方針であるにも関わらず、昨今の新型コロナウイルスで起こっている私たちの生活の変化や経済的な変化にも全く対応しておらず、この計画のまま東京都の都市計画を遂行していくことは、将来的に都民にとって不利益以外のなにものでもありません。
また、都市づくりの目標として、ゼロエミッション、ESG、SDGsなどの言葉と共に成長を進めることを繰り返し書いておられますが、ここでの成長は「グルーバルな人・モノ・情報の活発な交流」であったり、「世界中から選択される都市」だったり、と私たちが暮らす街としての東京というより、グローバルな経済活動を中心とする都市であることは、まさに都民を置き去りにしていると思いました。例えば、以下のような記述があります。(2ページ)
人口減少、超高齢化の進行や首都直下地震といった災害リスクなど懸念される将来予測を乗り越え、今後東京が直面する様々な課題を解決していきながら、都民や企業など多くの人々の共感を得て、明るい東京の未来の実現に向けた取組を推進する。
本計画を今後20年遂行することで、本当に明るい東京の未来が実現しますか。都民や企業の共感とは何ですか。東京都の一極集中が長年問題視される中、これ以上都民の暮らしを置いていきぼりにして、経済的成長を最優先としますか。今一度お考え直しするべきだと思います。
次の提案は、緑の問題についてです。生活に欠かせない、みどりの保全と緑化をしっかり守っていただきたいということです。公園調書(R2.4月)によると、都内の都市公園・公園等の人口割比率は一人当たり5.73平方メートル、私の暮らす大田区はそれよりもっと低い3.98平方メートルです。この値は23区部の平均値より少ないです。目標設定されている10平方メートルよりずっと低く、緑の少ない、暮らしにくい環境で都民は生活していると言えます。
本案では、公園の方針について、「Park-PFI により都市公園との一体的な管理を促進し、質の向上や良好な維持・ 管理、それらの活用による地域の活性化を図る」(18ページ)と記載があるように、民間事業者の積極的な利用をすることが公園やみどりの保全の計画として提示されています。このような方針が、私たちの緑を守ることにつながっているとは私には思えませんでした。これまで、都内、また全国各地で実施されているPark-PFIの事例を見るとそれは明らかです。これまで、人々の憩いの場所だった土地に、カフェやコンビニ、最近ではホテルまで建てる公園まで出てきました。公園やみどりは市民の資産であり、民間事業者がお金儲けをする場所ではありません。この方針が進められることで、不要に木を伐り、上物を建てることが本来の緑の保全ではありません。今ある自然をこれ以上減らさないことこそ、そのために知恵を絞ることが、本案が目標としている「持続可能な都市」の在り方ではありませんか。お考え直しください。
最後に、私の暮らす大田区について示されている将来像について意見いたします。これまでにご説明した点を重なりますが、各地域の将来像についても実態に沿うものとはいいがたく、地に足の着いた生活者優先の都市づくりをするべきと考えます。以下、具体的に申し上げます。
■環7周辺
環7周辺(内部)とそれ以外に分ける視点の根拠がよく分からないため、大田区として見たときに、エリアの分断が起こるのではないかと不安です。また、区内ではこのエリアのみ無電柱化の推進が書かれていますが、無電柱化を5Gの導入とセットで推進するつもりであることは、東京都が昨年12月に公表した長期戦略ビジョンからも明らかです。5Gの導入に関してはその害について世界各地で議論されており、導入を見合わせる地域もあります。よって、東京都が安易に無電柱化を進めることには反対です。

■大森
平和島等へのアクセスの強化とは、具体的に何をするつもりですか。バスもあり、道も幅広く、これ以上の開発、交通網の整備の必要は感じません。

■羽田(空港周辺)
2020年7月時点ですでに開発済みの施設があり、それらと重複する施設や機能をこの計画に列挙している意味が分かりません。この先、これ以上の開発を許す根拠になるのであえてここに記載することは不要だと思います。「東京と世界や日本各地がつながり、活発な交流が生まれる」という将来像は、東京都の都市の在り方の問題でしょうか。「拠点を形成」という部分で新たに施設を作りたいのなら、反対します。

■蒲田
蒲田周辺の小学校では子供の数が増えているところもあり、また、古くからの住民も多く、生活者の視点でのまちの在り方を最優先に考えてください。
「国内外の来街者でにぎわう活気あふれる枢要な地域の拠点」である前に、安心して長く住める街づくりの方針を示してください。

■池上
「駅周辺では、誰もが安全で快適に過ごせる空間づくり」と言う一方で、不要に大きい駅ビルを作っています。もともと小さな商店が立ち並ぶ駅前周辺の良さを失ってしまう開発計画はいりません。「商店街と観光資源等のネットワーク化」「建築物のリノベーションにより個性的な商業施設」など、自治体や地縁団体に近い一部の人や組織だけが利益を享受することになるのではないかと不安です。
以上が、私の本計画案に対する意見でありますが、このコロナ禍のタイミングで計画をしっかり見直し、本当に私たちの生活を守るために必要な都市計画を私たち都民と一緒に作り上げていただきたいと思います。